ゆっくりいこう

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なまぐさ

残業を終え、ロッカーを開けた瞬間嫌な予感はしたのだ。なんか、なまぐさっ。お弁当に焼き豚といくらが入っていて、焼き豚のたれをだだっとかけて、食し、リュックの中に入れておいたのだ。近所のスーパーのビニール袋で厳重に包んである、が、傾いちゃったのね‥。やっぱたれとかしょうゆとかは嘘でも流しに捨てるべきだな。そんななまぐさで帰る。誰もいないホーム。普段はなんとも思わない蛾や虫を一心不乱に蹴り殺す男がいる。電車に乗るなりなまぐさのかばんを置いてばかすかヘッドホン。大いにやさぐれる。乗換えの電車を待つホームでフリーター(推定)と女子高生のカップルが縺れ合っている。ここで一句、蹴り殺す、憎さ余って、蹴り殺す。名句。やさぐれる。乗車中、バッテリーも切れ、そそくさと爆音ヘッドホンを片付ける。途端に弱気。リュックの底がなんだか湿っている。匂ってみる。やっぱり、なまぐさ。そんな湿りは大嫌いだ。やさぐれる。誰よりも速く歩く。意味が無い。帰るなりカバンの中を撒き散らし、なまぐさを蹴り飛ばす。ハーイと言われても、もういくらちゃんはいいよ。うなだれる夜。