「お前にこの一生を捧げよう 必要なくなって 見捨てられるまで」 syrup16g tour 2015 「Kranke」 大阪オリックス劇場
金曜はsyrup16gのライブに行って来た。
捨てたはずの音楽に、久し振りに積極的に関わった。
若干腰が痛むので軽装で、かつリュックでと、
負担を減らしつつ行った。もうおっさんや。
つか毎日重いモノ運んでたらヤラれるわな。
大阪は本町のオリックス劇場って所で開催。
どこなんそれ？聞いた事ないわ？と思ってたら、
旧厚生年金会館やんけ。ジェフベック見に来て以来だな。
結構ギリギリで行ったので焦ったけど、
席に着けば相当の人入りで驚いた。
このバンドは生き辛さer御用達のバンド。
薬名をタイトルに文字ったり、生き辛さを歌ったりと、
明らかに弱者寄りの音楽だ。
ただそこで終わらず、どれだけ低空飛行でも、
前を向いて歩んでいくという強い意志を
曲から読み取って居る人が、これだけ居るんじゃ無いかな。
そんな、会場だった。
このバンドは一度解散しており、去年からまた活動を始めた。
その際には「再発」、今回はkrankeというマキシのツアーだったので、
「患者」というTシャツを販売していた。
会場にいるみんな、「再発」か「患者」ばっかり（笑）。
世も末だよ（笑）。そら年金も出なくなるわ（笑）。
開演の19時を若干過ぎた頃、暗転と共に演奏が始まった。
同時に湧き上がる歓声。
セットリストは以下。新旧織り交ぜたベスト選曲と言える。
1.冷たい掌
2.生きているよりマシさ
syrup16g - 生きているよりマシさ (MV) - YouTube
3.To be honor
4.HELPLESS
5.Stop brain
6.My Song
7.明日を落としても
8.正常
9.シーツ
10.吐く血
11.Share the light
12.天才13.真空
14.神のカルマ
Syrup16g - 神のカルマ / Kami no Karma (English ...
15.パープルムカデ
16.Thank you
en.1
17.vampire's store
18.落堕
syrup16g 落堕 from BLACKSOUND - YouTube
en.2
19.リアル
一貫しているのは、硬質なサウンドと歌詞。
ヒットチャート然とした、安易な慰めの言葉は一切出て来ない。
そんな中でも、作詞作曲を担当する五十嵐氏の、
暖かさや優しさが曲や、舞台上での立ち振る舞いにも現れる。
愛着障害の本にもあったが、治そうとしている場合、
治す側も完全に治っていなくても良いらしい。
共に歩む、安全基地でありさえすれば良いのだそうだ。
発信者と受信者が、丁度そんな関係になっているのかなと思った。
舞台上で堂々とした、所謂ロック然とした
アーティストと彼は全然違う。
等身大の一人の人間として、
きっとみんなに寄り添ってくれる。
ドラムとベースの鉄壁さと比べて、
ギターボーカルの五十嵐氏は少し詰めが甘い所がある。
その場の思い付きでメロディー変えてみたりして、
次の場面で案の定ミスったりと、素人の様な事を
平気でやったりする。
これは俺が昔この場所で見たジェフベックを、
あるライターが評した時もそうだったんだけど、
どっか、抜けがあるんだよね。
ジェフベックの様な完全無欠に見える人でも、
なんか、曲に入るタイミングをミスったり、
そういうのが結構あるんだって。
（俺は気付かないが 笑）
完璧なものにはあまり惹かれない。
どこかに穴があるからこそ、
良いなと思えるのかも知れない。
音楽的に余り共通項の無い二つの表現者に、
共通するものを見付けて、ふんふんと頷く自分。
2曲目の、「生きているよりマシさ」で、涙が流れてきた。
再結成後のアルバムに収録されている曲だ。
一人きりでいるのが長すぎて
急に話しかけられると 声出ないよね
基本 地面ばかり見て歩くから
たまに人と視線合うと キョドっちまうよね
波を立てずに 穏やかな暮らしで
目立たないように 慎ましやかにして
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
ほとぼりが冷めたら また奮起して
やり直せるなんて 甘いこと考えてた
周りを見渡せば 人影は無く
憐れみが入り雑じった 笑顔と共に
波を立てずに 穏やかな暮らしで
目立たないように 慎ましやかにして
もう君と話すには 俺はショボ過ぎて
簡単な言い訳も 思いつかないんだ
戸惑いの奥にある 強い不信感を
はね除ける 力が残ってたらいいのに
君と居られたのが 嬉しい
間違いだったけど 嬉しい
会えないのはちょっと 寂しい
誰かの君になってもいい 嬉しい
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
上向く予兆もなく 陽が落ちて
今夜もまた飲み疲れて 眠っちまうだけ
波を立てずに 穏やかな暮らしで
目立たないように 慎ましやかにして
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
死んでいる方が マシさ
生きているより マシさ
自分の置かれた環境、彼女との事、
今までの事、全てが思い出されて来る歌詞。
彼も、沢山辛い思いをしてきたのだ。
当事者じゃ無いと書けないよこんな歌詞。
だからこそ良いと思える。
上辺だけの言葉じゃ無いから。
涙が出る。
4番目のHelplessは、相当ロック寄りのアレンジに変わっていた。
ライブ映えするなあ。
Helplessと聞くと、ニールヤングを思い出す。
6番目のMy songで、エレアコにチェンジ。
珠玉のバラード。
その後も順調にライブは進み、たまにミスり（笑）、
それもみんな許容してる。不思議なライブなんだよな。
11～13は超ヘヴィな時間帯。空気の密度が倍になったかの様。
かと思いきや、演奏終了後に「2F3Fの人、遠くてごめん」と謎の謝罪（笑）。
そんな事考えながら舞台真ん中で寝っ転がって演奏してたんかよ（笑）。
SE鳴る中少しずつ幕が上がり仁王立ちでピック持った手を真上にあげ決めポーズ。天才のギターソロ頑張るもののシェアザライ前奏でステージうろうろし仰向けに寝てギターを掻き鳴らし落堕の前奏で謎の音階を弾きながらマキリンを不安そうに見て二階三階席になぜか謝る五十嵐隆 #syrup16g
— もりた ちひろ (@ChihiroMorita) July 3, 2015
普通ロックのライブで、ギターが寝たりしたら
もうアガって暴動みたいになるんだけど、
彼の場合は、のっそり歩いて、ころんと横になって、
すんごい音出しながら、歌始まりそうになると、
そそくさと起き上がってマイクに戻るんだよな（笑）。
なんかかわいく、なんかほんわかしちゃうのが、
彼の人間性と魅力なんだろうな（笑）。
みんなそれを見に来てるんだろうしな。
アンコールは二回までやってくれた。
ありがたいなあ。
オールラストの「リアル」。
この曲はシングルとアルバムでバージョンが違ったはず、‥はず（笑）。
そのどちらとも最早別物となった、
超ハードなアレンジで、場が熱を持つ。
タイトルの歌詞は、この曲のもの。
そう、共依存的な部分も歌われるうた。
命によって 俺は壊れた
いつかは終わる そんな恐怖に
でも命によって 俺は救われた
いつかは終わる それ自体が希望
お前にこの一生捧げよう
必要なくなって 見捨てられるまで
許しがたいまで 腐り切った
魂は水で洗い流して
圧倒的な存在感
生身の感情の表現
全ての言葉しっぽ巻いて
逃げ出すほどのリアル
遠いよ みんな遠いよ
本当のリアルはここにある
悲しい歌詞で紡がれる導入部を、
サビが光を持って貫く。
必死なのはかっこ悪くない
むしろその逆
笑っていた
感じられること
全てを喜びに変えろ
妄想リアル もっとSO REAL
この曲でライブを終われる様になった事こそ、
希望であり、救いなんじゃないかなと思う。
10年前にdelayedツアーを見た時には、
上記の曲はまだ殆ど無かった。
今は亡き、心斎橋クラブクアトロで、
MCで失笑を買っていたのを今でも覚えている。
五十嵐「みんな元気？」
観客「げんきー！」
五十嵐「俺は余り元気じゃ無いけど‥」
観客「‥（失笑）」
全くロック然としていない。全く自信満々じゃ無い。
舞台の向こうの、遠い人じゃない。
それが良いんだろうな。
赤いストラトを弾く様になって、
サウンドがハッキリした様に思う。
流石俺が愛用するストラト。ストラトは無敵だ。
ジェフベックもジミヘンもそうやしね。
俺の知ってる開拓者はみんなフェンダーだったよ。
ツイッターでsyrup16gを検索してる。初めてシロップを聴いたという人から往年のシロップファンまでたくさんの人が今日のライブに来てたんだなあ…。よかった。本当によかった。 #syrup16g
— 五条龍司@syrup16g患者 (@gojopost) July 3, 2015
という様な事を、昨日の自助グループで喋ってきた。
退屈し過ぎて怒ってエネルギーを失っているんだろうな。
なりたいもんなんか、ねえわ。
消え去るより、燃え尽きた方が良い。
今日はギター見に行きます。
アウトレットで安く買えそうな所が見付かったので。
