ゆっくりいこう

自分の為だけに書いています。意見は聞いていません。

  • 私は赦されると思う。あなたが側に居てくれる時だけ、赦されたと思う。私が私らしく、あなたがあなたらしく、時間を、瞬間を、互いが互いに触れる時の互いの感情の推移を少し怖がるながらも楽しんでいた時。愛していた時。私が人類史上誰よりも私らしく、あなたは誰よりも美しく、奔放にその笑顔を私だけのために見せる時。言葉を介在させなくとも何か、緩やかで大きな流れがふたりの間に確実にある時。生きていると感じた。いつの日か錆び付いた時計がゆっくりと、確実に動き出したあの日。私は赦されたと思った。私のいのちは、ここ、この日の、この瞬間のためだけにあったのだ。人がみな、得られるとは限らないこの、大らかで緩やかで、それでいて大き過ぎる優しさの中で。昨日の過ちも要らない。明日への恐怖も要らない。今この瞬間をただ、味わえばよい。ただひたすら、漂うだけ。それでいい。それだけで必要充分。生まれて来た全ての意味と価値を凝縮したにこごりを一気に味わった。後はもう死ぬのみ。豆腐の角にあたまぶつけて死にたい。
  • あなたを、思い出さない日なんて、なかったよ。時にはイヤになるほど!あなたと出会えて、心が通じ合う事が出来た事、それだけでいい。それこそが私の誇り。安らかに死んで行け。後には灰すら残さずに。
  • 燃やせ。私は、私として、一生を生きたかったの。あなたとアホな事言い合って年寄って行きたかったの。あなたの全てを、ずっと持っていたかったの。私の全てを、あなたに預けていたかった。いのちあるものみな、そう思うのだろう。そしてそれを得た。そしてそれを、私は手放さなければならなかった。それがとても怖かった。怖かったけど、怖くなかった。それを感じる前に、ふたりは引き寄せられてしまって、どうしようもなかった。出来る事なら出会うべきではなかった、近づくべきではなかった、でもそんな事、出来なかった。引き寄せられる力があまりにも強過ぎて、そしてその力に乗じる事が、あまりにも穏やかで心地良くて。死にたかった。想いが果てるまでに死にたかった。これ以上は無い。そしてその必要性も無い。言わずとも全て分かっていた。そんな出会い。酷だ。あまりにも。生きれば生きるほど、残酷になって行く。世界の果てに行きたい。空の向こうに行きたい。記憶の裏側に行きたい。街を歩く時、いつも空の向こう側を見てる。現実と記憶の境目。あなたの笑顔の裏側に。私はあなたと、死ぬその日まで、寄り添っていたかった。狂おしい程に。血を吐く程に何かを呪い、誰かを愛した。体中から吹き出る血と共に、私は生の実感を持ち、消えて行く。歴史の片隅に消えて、名など残りもしない。ああ、いざなえ、世界の向こう側に。記憶の向こう側に。状況の向こう側に。
  • 生まれ変わったらまた会おう。全てを赦した、あなたよ。