■ - ゆっくりいこう

とある、スタジオでボーカルレッスンが今年から開始になるってんで、その説明会＆セミナー＆ライブみたいなのに行ってきた。タダ。色んな楽器のレッスンやってるので、色んな楽器の、おいしい所を見せつつの１時間位ライブを見つつ、質疑応答って感じで、ぼへーっと見てるんだけど、歌の事になると色々考えてしまった。うた。死ぬほどイヤだ。人前で歌うってだけで心底イヤなのに、さらに俺の曲、難しいんだ。何が難しいって結局は声区の切り替えが頻繁に出てくるようなメロディーとキーを選択し続けるからしんどいのは目に見えてるんだけど、作曲者の自分としてはキーを変えるのは負け逃げでしかないので、そこは断固拒否ってしまって、で、結局ズタボロなステージを多々こなして、それでまた歌うのが死ぬ程嫌いになって、と、悪循環極まり無い所まで来てた。ボーカルの先生が歌ってるのを見て、ああ、なんかチェストボイスだけで歌って、ラクしてんじゃねぇかとまた卑屈な考えを持ったりして、結局レッスンを受けないような気がする。喋りのユーモアはある人っぽかったけど。そういう人じゃないともう僕は無理だなって分かってるから、合ってる様な気はしたんだけど。

歌を、堂々と人前で歌えるってのは才能だと思う。ああここで用いる才能って言葉は逃避だな。そうでなくて、自分の声を好きになる事でそれは、ひいては、自分を認め、好きになるって事なんだろうと思う。それが出来て、人前で堂々と歌えるようになれたらば、俺はもう過去の俺を引き摺らなくて済むのでしょうね、とかどうもいい事をライブを見ながらグジグジ思ってたらせいぜい１時間程度のライブが終わる頃には頭痛と吐き気を催していた。なんて弱い俺。

どう考えても、自分の声は好きになれない。ミッシェルのチバみたいな声がよかったし、スリップノットのコリーの様な「歌えるし、叫べる」声なら最高だったと思う。でも彼らは、そうは思ってない気がする。チバは自分の声が嫌いだけどもう諦めた、と、公言していたし。諦めから始めるしかないのかな、と思ったけど、それは昨日までの僕と変わらないワケで。自分の声が好きになれれば。最低嫌いでなくなれば、もう少し、ラクに歌えるのかも知れないね。

下を見ればキリがない。確かに自分よりどうしようもない人は沢山いる。でもそんな考え方、なんの役に立つと言うのだろう。自分より下も上も一杯居るに決まっている。そこで己は何を為したいんだ。そこだろ。全ては。うたには自信が無い。歌いたくない。客席を見ずに、壁の方を見てずっとギターを弾いていたい。ギターはいい。融通が利くから。でも歌はそうじゃない。体調管理から睡眠時間からストレスからあらゆる制約から自分を隔離してやらないといけない。もういいわ。そう思える。

帰ってぼけーっとして妹を連れて買い物に出掛けた。うるさいので、歩かせて疲れさそうと思ったが全然ダメね。スーパーでわいわい騒ぐ妹をチラ見してきやがったババアに思いっ切りガン飛ばしたったら目を逸らしやがった。ヘタレが。何も出来ん＆何もせん癖に何かを主張してくるなよ。

だからと言って現状が変わるわけでもない。何も出来ない、望めない環境であるのは明白だ。周りの人達とは明らかに違う人生を歩まねばならない事も分かり切っている。だがしかし、俺は落ちて落ちてもカトウみたいにはなれないとは分かった。同じジャンルで、１番手が確立されてしまった場合、同じ土俵で勝負しててももう無駄ってモンだ。そういう場合は諦めて次に行くって思考が働くのだ。俺は。

休日の朝。目が覚めて、傍に誰も居ないってのはなんかとても寂しいものなんだぜ。起きてなくていいから、何もしてくれなくていいから、穏やかな寝息を、聞かせておくれよ。ただ、そう思う瞬間がある。誰も居ない朝。それは、幻想的な夢を見た後の休日の朝から、瞬時に現実に引き戻される悲しみを内包しているんだぜ。ああ、さみしい。

ずっと大好きだ。でも、羽ばたけるなら羽ばたけ。前に言った通りだ。武士に二言は無い。武士て（笑）。いやでもそれはウソじゃない。言い疲れるまで、否定すんのを待つのもしんどいもんだ。でもそうしないと、話も聴いてもらえないんだもんな。大好きだ。嫌いになんかなれないよ。それだけだ。返ってこない返事を待ち続けるバカで良い。よわーいヘタレで全然良い。

あなたと、僕の、人生を奪い返す日々は毎日今この瞬間から始まってるんだ。あああの、俺より心の弱いあのおねえちゃんの行く先が希望に満ち溢れていますように。希望と愛液に満ち溢れていますように。言い直す程の事でもないな。