ゆっくりいこう

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島村楽器のお題「ライブの思い出」

  • 初めてチケットを買ってライブハウスとやらに行ったのは、今は亡き心斎橋クラブクアトロナンバーガールの1stアルバムのツアーだった。長方形のライブハウス。両サイドに置かれた大型のスピーカーからはなんかしらかの音楽が流れている。ざわついた店内。ここだけの話、私はライブハウスには北斗の拳の雑兵みたいな人が沢山いると思って怖がっていたのだが、意外とそんな事は全くなく、普通の、一般の方々が沢山そこにいた。少なくとも、「汚物は消毒だ!」と言いながら、火炎放射器をぶっ放すような人はそこには居なかったように思う。そして会場暗転。ボルテージが上がる。期待がふくらむ。照明が点き、メンバーが舞台にやってくる。そして最後に向井氏が来る。大阪の観客の愛情はひとしおだ。「オイのび太!」「メガネ!」「メガネロックゥゥゥゥ!」この時点で向井氏は間違いなく怒ってたんだけど(笑)、それについて私と友人は笑ってしまったのも事実。そして演奏が始まる。超弩級のロックが、会場の罵詈雑言を殲滅した。一曲終わる頃には「のび太」なんて言う輩は居なくなっていた。バイク事故を起こす前の北野武や千原Jrの様にギラギラした音楽なのに、何故かほんわかしている。MCも然り。短命に終わったバンドだけど、あれだけ強烈な個性を持った人間だけで構成されたバンドは、遅かれ早かれそうなる。エクスペリエンスや、クリームの例を引き合いに出すまでもない。轟音と狂騒と、不思議にあたたかい演奏を以て、ライブは進んで行った。この後2ndの殺風景を以て、彼らは名実共に最強のロックバンドになっていくのだが、その歴史的瞬間を、感受性を持ったまま過ごせた自分の生まれた時代性、タイミングに感謝した。ナンバーガールのあのダサカッコいい音楽が大好きだった。あの殺伐とした音楽を奏でながらも、ほのぼのとした雰囲気が大好きだった。今はもう、あんなバンドはどこにもいない。