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- 昨日。
- 彼女に会いに行った。父親の実家のある鹿児島に避難するかもしれなかったからだ。 付き合って半年だが、何の文句も出ない素晴らしい彼女だ。
- こんな時だからこその言葉と気持ちを、ありのままに伝えた。
- 言えないままは、嫌なので。
- 彼女と離れ、帰宅。
- 相変わらず味のしない晩飯を食ってる時に、避難に応じかけていた父親が行かないと言い出した。
- 彼の言い分は
- 結局ドカンならどこに行っても同じ
- アホ政府を選んだのもマスコミに騙され続けてきたもの我々
- どうせ死ぬならじたばたしないで
- いざ死ぬとなったらじたばたするかも知れないけど
- 俺は
- こんな人災に付き合うことは無い
- 家族は全員そろってこそのもの
- 父親がいない事を妹が理解できないからやめてほしい
- 頑として折れない父親。妹の話に触れた折、俺の結婚の話になった。
- お前もいい年になって結婚もしないのは、妹がいるからかもしれないけど、妹の面倒は、別に見なくていい。
- お前はお前の人生を歩めばいいんだ。
- 妹の面倒を見るための人生。私は、私の人生を歩めない。音楽をやりたかったが、出来ないと諦めた。
結婚も出来ないと諦めた。したくない仕事をし、家族を呪う日々が延々続いた。それを妹や両親のせいにしたくないのに、した。毎日限界だった。
- 10年以上、悩み続けてきたテーマだった。
- そう、両親に言われたとき、涙が止まらなかった。
- お前は妹をかわいがったりするけど、時にはいじめたりもしてるじゃないか
- そう言う父親の声が震えていた。
- 母親が、家族だから、他人じゃないから、愛して、憎むのよ
- そう言った。
- 涙は止まらなかった。
- 福島原発はそこから遠く離れた地の、ある家族の心の間にある見えない建屋も吹っ飛ばした。
- 感謝なんて絶対しない。許さない。生き延びたらあのクズ共の血で償わせてやる。
- そして、今朝からわが家族の会話は、少し、増えていた。
- こんな極限状況じゃないと話ができなかったなんて。
- 30年も一緒にいるのに肝心な事は何も話していなかった。
- 下らない気持ちを持ち続けていた俺。
- 母親も今晩それを詫びていた。こんな時でなくても、話ができないとね、と。
- お互い様だよ、と答えた。
- 仮に彼女と逃げ延びて遠くで暮らしても、家族とともに暮らしても、俺はもうきっと後悔しないのだろう。
- どちらの選択肢を選んだとしても、選ばれなかった方の人達は、受け入れてくれると分かったから。
- この家族の一員として生まれた事を誇りに思う。
- もう後悔はない。
- 仙石が官房副長官に復帰するらしい。恐らく中国人民解放軍の受け入れをするだろう。各省庁、宮内庁には抗議のメールをした。恐らく侵略、そして戦争が始まり、この平和な国が無くなる。日米同盟はどこまで機能するのか。
- 戦う場面が来たら、日本人として、この愛すべき国を守るために戦おう。そして日本人としてこんな素晴らしい国に生まれた事を誇りに、笑って最期を向かえよう。
- これが杞憂であってくれればいくら嘘つきと罵倒されてもかまわない。
- 愛するこの国を。家族を。恋人を。友人を。